ダラースポット病
病害
病原菌
Clarireedia spp.(旧Sclerotinia homoeocarpa)
芝種
あらゆる種類の暖地型芝草および寒地型芝草
病徴
ダラースポット病は、窪んだ円形のパッチになります。このパッチは、茶色から淡黄色に変色し、最終的には融合して、不定形の症状になります。感染した葉には、小さな病斑が現れ、黄色や緑から淡黄色に変わり、境界線が赤みを帯びた茶色になります。病斑は、葉の横幅全体に及ぶことがあります。1つの葉身上に何ヶ所も病斑が現れることもあります。
パッチの発生具合は管理方法によって変わります。グリーンなどの低刈をしている芝の場合、初期段階として比較的小さなスポットが発生します。しかしラフなどの刈高の高い芝の場合、不定形で大きなパッチ(15cm-3.5m)として現れます。一見、乾燥害、肥料焼け、他病害に見えてしまうかもしれませんが、朝露がある時間に菌糸を確認することで確実に診断できます。

ベントグリーンに発生したダラースポット病

早朝に確認されたダラースポット病菌糸
病原菌の生態
病原菌は一種類ではないという説もあります。学問的に言うと、病原菌はこれまで Sclerotinia と言われてきましたが、むしろ Lanzia, Moelllerodiscus, Rusroemia に近い分類になるという説もあります。アメリカ北部ではこのうちの一種類が優先しているようですが、日本での優先種は調べられていません。

発生環境
ダラースポット病の好適条件は、15℃~30℃で、湿度の高い状態が継続している場合です。この病害は、特に日中暖かく、夜間に冷え、露が多く降りる気象条件を好みます。また、低窒素環境で発病しやすく、乾燥した土壌で深刻化します。
管理のコツ
- 朝露が長く付いた状態を避けます。
- 夜間散水は止め、早朝散水を実施します。
- 低窒素条件で発生しやすいので適度な窒素レベルを維持します。
- 定期的に刈り込みをします。
- 排水は深い所にとり、乾燥ストレスをできる限り避けます。
- 耐病性品種を導入します。
- 接触型や浸透型殺菌剤を使用します。
発生時期

発生時期の表記について
■ :多発生 ■ :発生
シンジェンタからのお奨め防除法
全ての草種で発生する病害であるダラースポット病は管理機械などによる持込を最もしやすい病害だと言えますので殺菌剤を処理する場合には広めに散布することが大切です。また窒素量をコントロールすることで発生頻度を変えられますので、施肥が手薄となってしまい易いグリーン周りは特に注意が必要です。またグリーン周りのように刈り込みの頻度が多くない個所ではパッチが大型化しやすいので他の病気と間違える可能性も高いです。早朝に菌糸を確認することが確実な診断法です。

グリーン周りに発生したダラースポット病