ハルガヤ

イネ科雑草

学名

Anthoxanthum odoratum L.
 

説明

ヨーロッパ~シベリア原産の多年生帰化雑草で全国に分布しています。葉は線形で柔らかく、茎は高さ30-60cmほどに生長し、株は根元で分げつして、しばしば群落を形成します。日本においては明治時代に牧草(バーナルグラス)として導入された種が逸脱して広がったとされています。葉を触ったり、乾燥させたりすると桜餅のような匂い(クマリン臭)がします。
 

区分

多年生イネ科
 

主な発生場所

耐乾性が強いことから、日当たりが良く、乾燥した場所を好みます。刈込の少ない法面やラフ、芝地の密度が薄くなった箇所など、他植物との生長競合が少ない場所に発生・群生しやすくなります。
 

特徴

ハルガヤは秋から春にかけて発生した個体が、日本芝の萌芽前から急激に生育して出穂します。そのため、冬枯れした芝の中で伸張して株化したり、群落を形成したりするため、プレーの邪魔になってしまうことがあります。また、株は年々大型化していくため、年数を経た株は一回の茎葉処理除草剤の散布だけでは根絶が難しくなります。なお、種子発生個体を防除するためにイネ科土壌処理除草剤を用いる場合、薬剤の種類によっては効果が低いものもあるため、効果が確認されている薬剤を選択する必要があります。
 

生態

種子と根茎により繁殖します。秋から春にかけて発生した個体が春から夏(4-7月)頃に出穂し、緑色で無毛の3-8cm程の小穂をつけます。その後、地上部は夏までに枯死して姿を消し、根茎と種子で越夏します。


葉身は線形で柔らかく微毛がある、葉鞘は長い

ハルガヤ小穂

ハルガヤ群落

発生環境

種子の形成量が多く、発芽率が比較的高いことから繁殖力は強いです。種子の伝播は主に風、雨、動物によるとされています。
 

発生消長


発生時期の表記について
■  :多発生   :発生
なお、地域や生育環境によっては発生時期、開花時期などが異なることがあります。
 

シンジェンタからのおすすめ防除法

  • コース内だけでなく、ラフやコース周辺地の雑草を放置すると結実して有力な伝播源となるためコース周りも可能な限り管理を行ないます。
  • 発生が多くなってしまった場所では秋春の連用処理による対処を実施します。まず種子発芽タイミングである秋に茎葉処理剤と土壌処理除草剤を組み合わせて処理することで発生初期の小さな個体と、秋から春にかけて発芽する個体に対して防除を行ないます。続けて春に茎葉処理除草剤を処理することで秋に取りこぼした個体や、枯殺できなかった多年生の大きな株に対してダメージを与え個体数を減らします。
  • 株が大きくなった場合は必要に応じて抜き取りによる防除が必要になることもあります。
  • 効果が確認されているイネ科土壌処理除草剤を選択して防除を実施します。
  • 出穂期である春~夏にかけての刈り込みを随時行なうことで種子の形成を抑え、種子由来の新しい株の発生を抑えます。
  • 芝草の密度が低くなった所では侵入しやすい環境ができやすくなるため、適度に刈込み施肥を実施して芝草の密度を高く保つことが重要です。