チョウ目害虫

害虫

ゴルフ場に発生するチョウ目の害虫としてはシバツトガ、スジキリヨトウ、 タマナヤガ などが挙げられます。
ご存知のとおり、ゴルフ場に発生するどのチョウ目害虫にも共通して言えることは、芝草を食害するのは幼虫だということです。これらの幼虫は卵から孵化した後、脱皮を繰り返しながら成長します。卵から孵化したばかりの幼虫を1令幼虫と呼びます。その後、脱皮を行うごとに2令、3令と徐々に大きくなっていき、一般的に幼虫は6令を経て蛹化します。1令、2令といった若令幼虫は体も小さく摂食量は多くないのですが、4令を超えるような幼虫となると体も大きくなり、摂食量も体重の4倍程度となるため、数日のうちに被害が進んでしまいます。その上、1年に3回程度の発生があるため、年に数回は薬剤防除する必要があります。
 

防除のコツ

コガネムシ類の幼虫と違い、比較的地表近くに生息する上、芝草の茎葉を食害するので薬剤による防除効果は高くなります。多くの登録薬剤があるので、同系統の薬剤の連用とならないように注意が必要です。
どの虫も夜行性で成虫は走光性(光に集まる性質)があるので、夜間にフィールドジェット、あるいはブームのタンク車でライトを点灯しながらの薬剤散布は幼虫および成虫の同時防除が可能となります。また、日中、成虫は周囲の植木などに潜んでいるので、グリーンやティーグランドに薬剤散布するついでに周辺樹木へ薬剤を散布するのも効果的です。
 

シバツトガ

学名

Pediasia teterrellus Zincken
 

形態

他のチョウ目の幼虫と比べるとやや細長い印象です。

害虫の生態

成虫によって地表にばらばらと産み落とされた卵は約1週間で孵化します。幼虫期間は約1ヶ月で、3回目に発生した幼虫が越冬します。食害するのは主にベントグラスですが、バミューダグラス、コウライシバも食害の対象となります。蛹の期間、及び成虫の寿命はともに約1週間です。
 

スジキリヨトウ

学名

Spodoptera depravata Butler
 

形態

幼虫は2令程度までは黄緑色を呈していますが、成長するにつれ褐色化してきます。さらに令期が進むと特徴的な半月型の模様が、背部の節ごとに一対ずつ現れます。体調は約3cm程度にまで大きくなります。

害虫の生態

芝草などの葉に卵隗として生みつけられた卵は気温にもよりますが、約1週間で孵化し、約1ヶ月間の幼虫期間に、コウライシバ、ノシバを好んで食害します。蛹期間、成虫の寿命ともに約1週間です。
 

タマナヤガ

学名

Agrotis ipsilon Hufnagel
 

形態

非常に大きな幼虫で、老令となると4.5cm程度の大きさになります。色は灰褐色から黒褐色を呈します。

害虫の生態

多くの地域では年3回の発生となりますが、北海道などの寒冷地では年2回の発生です。芝草などの茎葉に一つひとつ産み付けられた卵は約1週間で孵化します。幼虫は約1ヶ月の間にベントグリーンなどを食害します。老令幼虫は地中の深い位置に生息し、夜間這い出てグリーンなどをボールマーク状に摂食します。蛹期間は1週間、成虫は2週間の寿命です。