さび病

病害

病原菌

Puccinia spp., Uromyces spp.
 

芝種

ケンタッキーブルーグラス、スズメノカタビラ、ライグラス、ベントグラスの古い栽培品種、日本芝、バミューダグラス、トールフェスク、細葉フェスクは感染しやすいです。
 

病徴

さび病は、まず茎葉に明るい黄色の斑点を発生させます。この斑点は大きく長くなり、病徴が進むと葉脈に沿って平行に病斑が広がります。この症状は葉先から葉の基部へ向かって進行します。最終的には感染した部分の表皮が盛り上がって破れ、オレンジ色から赤茶色の胞子を放出します。胞子の色によって、葉はさび色に変色します。
病徴が激しい場合には植物全体が黄化してしまいます。


ノシバに発生したさび病

ノシバに発生したさび病

病原菌の生態

さび病菌は絶対寄生菌であることが知られています。この病原菌は生きている植物体に限り、感染・増殖することができ、枯死植物上では生活できないことを示しています。感染した芝の葉にできたさび色の斑点は学問的に夏胞子堆と呼ばれ、葉表皮の下には橙黄色の夏胞子が多数集まっています。やがて表皮が破れて中の夏胞子が周辺に飛び散って次々と発病が拡がります。


ノシバ表皮に形成された夏胞子

さび病菌の夏胞子

発生環境

さび病は、通常、早春から秋にかけて発生します。さび病の好適条件は、湿度が高く、日照不足のエリアです。さび病の好適温度は、病原菌の種類によって異なりますが、18℃から30℃です。さび病の感染が深刻化するのは、成長が鈍化した芝で、特に、窒素レベルが低く、散水によるストレスがある場合です。
 

管理のコツ

  • 適切なレベルの窒素施肥を行います。
  • 刈り取った芝を取り除きます。
  • サッチの量を減らします。
  • 日陰を減らし、通気性を向上させます。
  • 葉面に水滴が残っている時間を最小限にするように散水を行います。散水は、地中にしみ込むまでたっぷり行いますが、回数を減らします。
  • 成長が鈍化した芝、あるいは刈込みが行われていない芝でのさび病の発生を抑えるために、浸透移行性の殺菌剤を使用します。
  • (ケンタッキーブルーグラス・ペレニアルライグラスの場合)各地域で多く使われているさび病に強い種類あるいは栽培品種の芝に切り替えます。
     

発生時期


発生時期の表記について
 :多発生  :発生

シンジェンタからのお奨め防除法

さび病は梅雨の時期に発生し始めます。その時期は地面が緩くなるため、殺菌剤の散布や刈り込みなどの機械がFWに入りにくくなります。あらかじめ肥料を効かせておいてから、入梅前にさび病や葉枯病などの予防のためにセンチネル顆粒水和剤などと植物成長調整剤であるプリモマックス液剤とを組み合わせて散布することで、わだちやさび病により美観を損ねることを防ぎ、梅雨の時期にも病害の少ないしっかりとしたコースコンディションを提供することが出来ます。