ラージパッチ(秋期から翌年春期)

病害

病原菌

Rhizoctonia solani AG2-2 LP
 

芝種

日本芝を中心とする暖地型芝草
 

病徴

ラージパッチはパッチ状又はリング状に芝を枯らします。その直径は10cmくらいから10mまで様々です。パッチの外観は褐色から黄色で、活動的なパッチは外周部分がオレンジ色に枯れあがります。
秋期の気温が下がってから発生した場合や秋期に防除をしなかった場合、翌春の芝の萌芽時からパッチが目立ち、温度が上がって芝の生育が旺盛になるまでパッチ跡が残ることがあります。秋期発生跡が翌春の被害拡大の主な原因となります。

一般的なパッチ
休眠期にも分かる秋発生跡
落ち込みが目立つ翌年萌芽時

病原菌の生態

病原菌は年間を通じて植物の地際部に感染し続けます。発病に適した環境となると葉・葉鞘にも広がりますが、匍匐茎・根を痛めることはありません。病原菌は8-30℃で活動できるため、冬期間に外周の健全部へ90cm移動する様子が確認されています。
 

発生環境

ラージパッチの病徴は芝の品種によって大きく異なります。また気候や温度条件、土壌、管理条件にも左右されます。この病害は初春や晩秋の10℃から15℃の夜間気温と同様に比較的高い湿度条件を好みます。また1日10時間以上葉が濡れた状態の日が数日続くと発生することが知られています。芝生が低く刈り込まれるとより激しく感染しやすくなり、基本的に春は秋と同地点で発生が確認されますが、飛び地で発生する場合があります。これは刈草・管理機械による移動の可能性が考えられます。
 

管理のコツ

  • バランスの良い施肥を心がけます
  • 病気が活動している時期の施肥・更新作業を控えます
  • 空気の循環を良くする
  • 過剰な散水を避けます
  • 土壌の排水を良くすること
  • サッチを適度な量に減らします
  • 予防的に殺菌剤を使用すること

発生時期


発生時期の表記について
 :多発生  :発生

シンジェンタからのお奨め防除法

秋期の防除をしなかった場合、秋に発生したラージパッチの跡が春期の萌芽に悪影響を及ぼします。また萌芽時から問題となるラージパッチは早春の薬剤散布では対応できないことが多いです。ラージパッチに限らず萌芽時の病害全般に対して秋の薬剤防除が重要です。
 

最近の話題

ラージパッチ以外に春期萌芽時に問題となる病害は以下のようなものが挙げられます。いずれの病害も秋期の防除が適しています。

立枯病(ゾイシアデクライン)
疑似葉腐病(リゾクトニア性春はげ症)
ネクロティックリングスポット(仮称)