グリーン:春のイネ科雑草
グリーンにおいて春に防除が必要になるイネ科雑草としては、スズメノカタビラとメヒシバが挙げられます。これらの雑草が多くなると、見た目だけでなくボールのスピードや転がりなど、プレーにも大きな影響が出てしまいます。発生程度や目的にあった対処を実施して、質の高いグリーンの維持を目指しましょう。
スズメノカタビラ
1つ目の除草剤を用いる方法は、効果が高く、スズメノカタビラを短期間で大幅に減少させることができます。しかしその反面、一般的に薬害のリスクがあることや、スズメノカタビラが枯れて無くなった跡が裸地化してしまう可能性があるため、あらかじめそれらのリスクを考慮しておく必要があります。これは雑草の侵入率が低い場合に特に有効です。
2つ目の植物成長調整剤を用いた方法では、スズメノカタビラを短期間で根絶することは難しいですが、薬害のリスクが低く、スズメノカタビラの出穂や生育を抑制すると同時に芝の芽数を増やしていくことで、裸地化する箇所を作らずに徐々に芝の比率を上げていくことができます。これは雑草の侵入率が高い場合に特に有効です。

グリーンに発生するスズメノカタビラの発生消長※(イメージ)と散布タイミング例※※
植物成長調整剤を用いた対処法防除のコツ
スズメノカタビラが出穂するタイミングにバウンティを用いることで出穂を抑制することができます。
さらに芝の生育が活発になるタイミングにおいて プリモマックスを用いることで芝の芽数や密度が増加し、より効果的にスズメノカタビラの出穂や生育を抑制することができます。
メヒシバ
なお、近年、問題になりつつあるアキメヒシバは、メヒシバに似た形状を持つ類似種ですが、通常のメヒシバと比較して、発生タイミングが遅めであることや、生育期間が晩秋まで続くことなどから防除が難しくなっています。そのため、アキメヒシバの発生が考えられる箇所では、薬剤の薬量を高めに設定したり、散布回数を増したりするなどの対応が必要になります。

芝生用ローテーション資料(ベントグラス:一年生イネ科、スズメノカタビラ) グリーン農薬総覧2009より
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「グリーン農薬総覧」 2009社団法人緑の安全推進協会刊より登録部分抜粋
ただしクサブロック、バナフィン顆粒水和剤、バナフィン粒剤2.5はグリーンには使用しないこと
雑草トピック
グリーンに発生する雑草に対して薬剤による対処も有効ですが、施肥や更新作業と言った耕種的防除も非常に重要です。例えば施肥は、肥料が多めの方がスズメノカタビラの出穂が遅くなる傾向があることや、燐酸肥料の施肥量が多すぎるとスズメノカタビラの出穂が多くなる傾向があると言われています。更新作業はベントグラスの生育量が高くなるタイミングを狙って実施することで、芝密度の低い期間を少なくして雑草の発生リスクを少なくします。また、目砂をこまめに実施することで芝密度を高め、雑草が生えにくい環境を維持することができます。もちろん、発生してしまった雑草に対して、発生量が少ないうちに、また雑草が大きくなる前に、手取りによる対処を継続的に実施することも有効な対処法の一つです。