ハルジオン

ハルジオン(Erigeron philadelphicus L.)

説明

北アメリカ原産の多年生雑草で日本には大正時代に入り、現在では全国に分布しています。直立した茎の内部は中空で、上部で分枝して50-100cmほどに生長します。
根生葉と茎の下部につく葉はへら状(長)楕円形で荒い鋸歯を持ちますが、茎につく葉の形は長楕円形で基部が耳形で茎を抱きます。また、茎と葉の表面には白毛が密生しているため、スベスベした手触りがします。和名は春紫苑です。
なお、本種は多年生ですが、自生環境に適応して1-2年草の生活史を送る場合もあります。

区分

多年生キク科

主な発生場所

土壌環境に対する適応力が強いため、土壌の種類を選ばず、やせた土壌や酸性土壌でもよく成育します。コース内では刈り込みの少ないフェアウェイやラフに多く発生します。

特徴

ハルジオンは、ヒメジョオンと同様に秋に発生した個体が根生葉(ロゼット)の形で生長、越冬するため刈り込みや踏み付けに強く、越冬した個体が春先になると急激に生長する性質を持ちます。
また、種子だけでなく根茎による繁殖力も強いため、しばしば群生します。そのため発生初期段階で適切な防除を実施しないと、繁殖した場所から生育域が着実に広がっていきます。また、種子に冠毛があるため風による伝播が起こりやすく、遠くまで種子の拡散が可能です。

生態

種子および根茎により繁殖し、根生葉(ロゼット)で越冬します。種子からの発生は夏から秋にかけて起こります。開花期は春から初夏(3-7月)で、茎の上部の枝先にキクの花に似た直径1.5-2.5cmほどの小さな頭状花を多数つけます。花序は舌状花が白色に近い個体が多いですが、淡紅紫色の個体も存在します。なお、開花前は花序全体がうなだれるように下を向きますが、開花後は上を向きます。種子は扁平の広線形で淡黄色をしており、白い冠毛を持ちます。本種は種子の休眠が無く、また繁殖力が極めて強いために種子が大量に落下した場所において地表が根生葉(ロゼット)で覆われるほどに大発生することがしばしば起こります。また、根茎を横に伸ばしそこから芽を出して新しい植物体を発生させる栄養繁殖も行います。なお、種子の伝播は風、雨、動物、人間などによるとされています。

ハルジオン花序
(左:淡紅紫色、右:白色)
大量に発生したハルジオン根生葉
越冬時のハルジオン

発生消長

ハルジオン


発生時期の表記について
■  :多発生  :発生
なお、地域や生育環境によっては発生時期、開花時期などが異なることがあります。

発生環境

ヒメジョオンとハルジオンは種子生産能力が高いことに加えて種子に休眠期間が無く、結実落下した直後から発生が可能なために極めて強い繁殖力を持っています。また土壌中の種子の寿命が比較的長いため、一旦結実落下した場所では長期間にわたって発生が続くことがあります。

シンジェンタからのおすすめ防除法

  • コース内だけでなく、ラフやコース周辺地の雑草を放置すると結実して有力な伝播源となるため、コース周りも可能な限り管理を行ないます。
  • 発生場所の刈り込みを丁寧に実施して、種子を付けさせないようにします。
  • 種子による繁殖を防ぐため秋に発芽前土壌処理除草剤を、また発生した個体には春に茎葉処理除草剤を散布します。
  • 多年生のハルジオンは、耕種的な防除の場合に必要に応じて芝の張替えや地下茎の抜き取りが必要になります。化学的な防除の場合には状況によって3~4回程度の除草剤散布が必要になります。

雑草コラム

ヒメジョオンとハルジオンの相違点を示しました。もっともわかりやすい見分け方としては茎を切断して、中が詰まっていればヒメジョオン、中空であればハルジオンです。覚え方の語呂合わせとして、ヒメジョオンは葉の表面に荒い毛が生えており、茎葉の基部が茎を抱き、茎が中実で開花前の蕾が上を向くことなどから、 「荒い毛で、姫を抱けない姫女苑、芯(こころ)詰めつつ頭(こうべ)もたげる」また、ハルジオンは茎が中空で開花前の蕾が下を向く多年生であることから、 「春来るも、中身詰まらず春紫苑、頭(こうべ)うなだれ翌年を待つ」などいかがでしょうか?

ヒメジョオンとハルジオンの相違点
ヒメジョオンとハルジオンの相違点