シバオサゾウムシ

害虫

学名

Sphenophorus venatus vestitus Chittenden

形態

成虫:体長は8mm前後で灰色から黒褐色を呈する。象の鼻のようなくちばし(口吻)が特徴。
幼虫:体長は8-10mm。乳白色で頭部は赤褐色。コガネムシ類の幼虫とは異なり脚がない。

害虫の生態

この虫は、老令幼虫で越冬するものと成虫で越冬するものがあります。日本芝やバミューダグラスの茎や葉鞘の中に1つずつ産み付けられた卵は6-10日間で孵化します。孵化した幼虫は、芝の髄や新芽などを食害しながら地際へ移動し、その後、芝の根元などで根などを食害し始めます。幼虫は脱皮をするごとに大きくなり5令、6令を経て蛹となります。幼虫は大きくなるにつれ、土壌中の生息深度も深くなっていき、根だけでなく、ランナーを食害するようになります。さらに、成虫は新芽などの地上部を食害することがあるため、芝に対するダメージが大きく深刻な被害を引き起こします。

シバオサゾウムシの生態

防除のコツ

シバオサゾウムシ防除を難しくしていたのは幼虫が地中深くに生息するため、薬剤を到達させるために多量の散布水量や土壌潅注が必要だったことです。そのため、以前は地表近くに生息する成虫を対象に防除する方法もとられていました。しかし、「幼虫越冬するもの」と「成虫越冬するもの」が混在し、一年中だらだらと発生するため少ない散布回数では成果があまり上がりませんでした。
ネオニコチノイド系殺虫剤によって、これらの要素を一度に解決できるようになりました。少水量散布が可能なことで、春・秋の除草剤、ラージ剤散布時のほか、最近では植物成長調整剤との組み合わせ散布が効率的であり効果的です。
シバオサゾウムシの被害は地上部からでは分かりづらく、乾燥害との区別が困難なこともあり、ホールカッターなどを用いた掘り取り調査を実施し被害を調べることも有効です。また、シバオサゾウムシにはフェロモントラップがないため、ピットフォールトラップ(落とし穴)で成虫の発生状況を知ることも有効です。シバオサゾウムシは基本的に夜間に活動します。ほとんど飛翔することなく芝上を歩いて移動するためこの方法がとられます。ホールカップや直径10cm程の塩ビの管などを数箇所に埋めておくと成虫が捕獲できます。