体系防除プログラム作成方法
年間の使用薬剤設計に悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回のソリューションシートでは各ゴルフ場における薬剤の体系防除プログラムの作成方法の一例をご紹介いたします。
体系防除プログラム作成方法 ●年間体系防除作成への4つのステップ
- 各ゴルフ場で問題となっている病害を書き出します
- 問題病害の発生時期を明らかにし、各ゴルフ場における重要病害発生カレンダーを作成します
- 各病害について散布適期と効果のある薬剤を調べ、使用薬剤の候補を考えます
- 最後に病害発生カレンダーと候補薬剤の持つ残効性などの性質を見比べ、防除カレンダーを完成させます
1. 各ゴルフ場で問題となっている病害を書き出します
病名が正しくなければ効果の期待できる薬剤も変わってくるので非常に大切なステップとなります。見た目による病徴観察、薬剤散布暦による病名の絞込み、また草種や時期によって発生する病害が決まったりしますので、これらの情報等より総合的に病害を特定させます。場合によっては顕微鏡観察による診断が必要になることもあります。
2. 問題病害の発生時期を明らかにし、各ゴルフ場における重要病害発生カレンダーを作成します
過去の記録を基に病害が発生する可能性が高い時期を明確にします。病害の発生消長は以下の3種類に分けます(病害が発生しない時期、病害が時々発生する時期、病害が頻繁に発生する時期)。同時に肥培管理要因についてもチェックしていくと、なぜ病害が頻繁に発生しているかの理由が分かるかもしれません。
(例)ゴルフ場でベントグリーンによく発生する主要5大病害(ダラースポット病、炭疽病、ブラウンパッチ、ピシウム病とフェアリーリング病(ホコリタケ類))を例にすると発生時期は以下のようになります。

3. 各病害について散布適期と効果のある薬剤を調べ、使用薬剤の候補を考えます
各病害に対する薬剤の登録の有無を確認して使用薬剤候補を挙げます。複数の病害が発生する時期はなるべくスペクトラムの広い薬剤を選択することで殺菌剤の効果を最大限に利用します。また降雨・散水が多い時期などは浸透移行型などの耐雨性に優れた薬剤を選択することも重要です。
(例)添付の検索表を用いて炭疽病、ダラースポット病、ブラウンパッチ、フェアリーリング病とピシウム病に効果のあるスペクトラムの広い薬剤を見つけます。

「グリーン農薬総覧」2007,2008追補版社団法人緑の安全推進協会刊より登録部分抜粋
そして複数の病害が頻繁に発生する時期にスペクトラムの広い薬剤を当てはめます。
4. 最後に病害発生カレンダーと候補薬剤の持つ残効性などの性質を見比べ、防除カレンダーを完成させます
耐性菌の出現する可能性が高い病害と薬剤の組み合わせの場合には、特に組み合わせ散布やローテーション散布が必要とされます。薬剤のスペクトラムと残効性を考慮し、モレなくダブりなく大半を網羅するカレンダーを埋めていきます。
(例)