春先のラージパッチ以外の病害
ラージパッチ以外にも春先の日本芝に発生する病害がいくつかあります。これらの病害は秋に感染して春に発病するため、秋に防除をしないと春の発生を防ぐことができません。
発生時期と防除タイミング・年間ローテーションの提案
平地における発生の場合

- ラージパッチに効果があり、かつ他の病害にも効果が期待できる薬剤を選択することで晩秋の芝のきれいな冬落ちと春先の芝のきれいな立ち上がりが期待できます。
- ラージパッチ以外の病害(ゾイシアデクライン、春はげ症)が最も重要な場合は秋に処理する薬剤にセンチネル等を選択します。
- ラージパッチに重点を置き、その他の病害も同時に防除したい場合はシバンバ等を選択します。

ゾイシアデクラインの病徴写真

病原菌の感染部位

春はげ症の病徴写真

病原菌の感染部位
芝生用殺菌剤ローテーション資料
「グリーン農薬総覧」2007,2008追補版社団法人緑の安全推進協会刊より登録部分抜粋
病害ソリューションシートは、一季出版『月刊ゴルフマネジメント』誌で連載中です。
防除のコツ
- ゾイシアデクラインは地際部~根部に感染している病害であり、春はげ症は地際部に感染している病害のため、薬剤をしっかりと落とします。刈高が低い場所は少水量散布で対応できる場合もありますが、刈高が高く密度が高いラフなどは薬剤を地際部に届けるために水量を多くすることをお薦めします。
- 一頭口フィールドジェット散布を避け、多頭口で粒径が粗いノズルを選択し、地面にたたきつけるように均一に散布します。
- 通常は年1回発生です。耐性菌の出現レベルも低いため、薬剤ローテーションを過度に気にする必要はありません。
管理のコツ
- ゾイシアデクライン、春はげ症は乾燥条件を好むため冬期でもマウンドの頂上など乾きやすい場所は散水を行います。
ゾイシアデクラインは、砂質土壌のグリーンおよびフェアウェイにおける発生が多いです。なかでもマウンドになっている、風の吹き抜けるなどの乾燥しやすい場所で激しく発生します。また歩経路になる場所、常に機械の通り道となる所などストレスの加わりやすい場所にも発生しやすく、回復も遅れることが多いです。雨にあたるとパッチが赤く見えることが特徴です。
春はげ症も砂質土壌のグリーンおよびフェアウェイにおける発生が多いです。ただし春先の回復はゾイシアデクラインやネクロティックリングスポット病と比べても早く、2-4週間で治ることが多いです。