立枯病 (テイクオールパッチ)

病害

病原菌

Gaeumannomyces graminis

芝種

ベントグラス、ライグラス、(スズメノカタビラ、ケンタッキーブルーグラス、フェスク)

病徴

テイクオールパッチは、しおれを伴った円形のパッチやリングが発生します。これらのパッチは、茶色またはブロンズ色に枯れ、直径は60cmぐらいかそれ以上になることもあります。感染した芝は、根がこげ茶色になります。テイクオールパッチは、造成して間もないグリーンでよく発生し、造成後の年数が経つにつれ、さほど深刻ではなくなります。


典型的なリング状病徴
 
 

病原菌の生態

病原菌は土壌温度が10-19℃になると根への感染を始めます。病原菌は根・匍匐茎・地際部に感染することが多く、感染した部分は病原菌糸の色により黒く見えます。そのためフィールドにおいて肉眼で診断することは比較的簡単です。


褐色の病原菌糸
 
 

発生環境

通常テイクオールパッチは、寒冷湿潤な気象条件で発生します。しかし深刻な症状は温度が上昇し、乾燥が進んだストレス条件下でない場合には発生しないことがあります。また土壌pHの高いエリア(pHが6.5以上)で激しく発生します。肥料不足の土壌や砂質土壌でも深刻化します。

管理のコツ

  • 酸性の肥料を使用します。
  • 中~高レベルのリン、カリ、微量要素を与えます(土壌にこれらが不足している場合)。
  • グリーンの水はけを改善します。
  • サッチの量を減らします。
  • 最初の刈り始めとなる早春と、夏の終わりから秋にかけて、予防的に浸透性殺菌剤を散布します。

発生時期


発生時期の表記について
 :多発生  :発生

シンジェンタからのお奨め防除法

  • テイクオールパッチは一旦発生すると、回復に時間を要することが多いです。そのため有用な殺菌剤を散布しても、充分な効果が得られないと感じるかもしれません。発生する可能性のある場所では予防的に薬剤散布することをお奨めします。
  • 病徴の様子から炭疽病と間違え易かったりします。現場で簡易顕微鏡を用いて観察することで、比較的簡単に区別をすることができます。根・匍匐茎・地際部が黒いようならテイクオールパッチ、剛毛が観察できるようなら炭疽病。時には同時に観察される場合もあります。

炭疽病と類似したテイクオールパッチ