ほこりかび病

病害

病原菌

Mucilago spongiosa, Physarum cinereum
 

芝種

あらゆる種類の暖地型芝草および寒地型芝草
 

病徴

芝の葉が大量の小さい粒に覆われます。時にはサッチや表面土壌にも小さい粒が発生する場合があります。この小さい粒がほこりかび病の病原菌である粘菌です。発生初期はクリーム色から半透明色ですが、時間の経過と共に濃い灰色に変色します。遠目に見ると芝の葉が黒っぽく変色しているように感じますが、これは粘菌が密に固まっているためです。円形から不定形に発生し、大きさは10cmから数メートル程度になることがあります。


ノシバラフに発生したほこりかび病


葉の表面に付着した粘菌

病原菌の生態

冷涼湿潤になると病原菌の胞子が水を吸収し、鞭毛を有する動く胞子となります。動く胞子は微生物を食べ、サッチを腐敗させます。成長するにつれ、形態は鞭毛を失い徐々に大きな球体になっていき、最終的に粘菌と呼ばれる生物へ変化して芝の葉に付着します。粘菌は冷涼湿潤な条件が整うと再び新たな胞子を作り、主に風に乗って分布を広げていきます。葉に付着した粘菌は直接芝を加害することはありませんが、大量に付着することで植物の光合成・呼吸・蒸散を妨げます。その結果、芝を黄化させ弱らせてしまい、その他の病原菌の進入をし易くさせてしまう場合もあります。
 

発生環境

ほこりかび病の病原菌は長引く湿潤な気候を好みます。

管理のコツ

  • 芝の葉が長時間濡れている状態を避けます。
  • 発生が激しい場合は大量の粘菌を水で洗い流します。ただし湿潤な気候が続く時はこの方法を避けます。
  • 伝播を避けるため、露がある時間の刈り込みを控えます。
  • 殺菌剤の葉面散布をします。
     

発生時期


発生時期の表記について
 :多発生  :発生
 

最近の話題

ほこりかび病は梅雨時に刈高の高いノシバなどのラフに発生しやすい病害です。しかし条件が整っていればベントグリーンでも発生が見られることもあります。


ベントグリーンに発生したほこりかび病

葉の表面に付着した粘菌