カーブラリア葉枯病(犬の足跡)

病害

病原菌

Curvularia spp.
 

芝種

ノシバ・コウライシバ・バミューダグラスの一部の品種
 

病徴

カーブラリア葉枯病は葉身や葉鞘に楕円形の小斑点ができます。斑点には薄い円紋が見られ、後に融合して不整形となって葉枯症状を呈します。激発した場合には、芝草の生育が悪くなり、芽数が少なくなることもあります。

融合したパッチ

融合したパッチ
分生胞子

分生胞子

病原菌の生態

カーブラリア菌は寄生と腐生をする能力に優れた菌です。これは長期間サッチや土壌で生息することが可能で、植物へ感染するチャンスをうかがえることを意味します。冬期間はサッチや植物体で過ごし、暖かくなると胞子が風や水によって広がり新たに感染します。またカーブラリア菌の中でも胞子を作るタイプと作りにくいタイプがあり、生存様式は異なっている可能性もあります。
 

発生環境

カーブラリア葉枯病の好適温度は24℃から27℃です。高温・多湿を好むため、特に雨期に激しく発生することが多いです。葉枯病は、葉面が湿った状態が一日に10時間以上続き、しかもこのような日が数日連続するエリアで発生します。また、窒素が少なく、刈高が低い場所も好みます。
 

管理のコツ

  • 刈高を高くします。
  • 軽めの管理機械を利用することで芝へのストレスを軽減します。
  • 春に、水溶性窒素(特に、高いレベルでの)の施肥を控えます。
  • 日陰になる部分を減らし、風通しを良くします。
  • 散水は過潅水にならないように地中にしみ込むようにし、回数を減らします。
  • サッチの量を減らします。
     

発生時期


発生時期の表記について
 :多発生  :発生
 

最近の話題

ノシバ・コウライシバの葉枯病はカーブラリア葉枯病とヘルミントスポリウム葉枯病に大別できます。病徴を肉眼によって分類するのは難しく、顕微鏡を用いた同定を行うこととなります。一般に「犬の足跡」と呼ばれるものはカーブラリア葉枯病に含まれ、また胞子を形成しないタイプのカーブラリア菌が主要病原菌であるという説が有力のようです。新農薬取締法の観点から対象病害を明確に見極めた上で薬剤を使用しないといけませんが、カーブラリア葉枯病とヘルミントスポリウム葉枯病間で同じ薬剤を使用した場合の効果に大きな差はないと考えられています。