ブラウンパッチ

病害

原菌病

Rhizoctonia solani AG2-2IIIB、R. solani AG1-IA、R. solani AG1-IB

芝種

ベントグラス、ブルーグラス、ライグラスを含む寒地型芝草全般(スズメノカタビラも感染します)

病徴

ブラウンパッチの症状は、気象条件、土壌や水分等の環境条件、芝の品種、芝の刈高の程度、施肥状況に応じて大きく異なります。通常、感染した芝にパッチを形成します。パッチの直径は10センチ程度の小さいものから、大きいものでは1メートル以上になることもあります。また、葉に斑点を発生させたり、スモーキーリングを発生させたりすることもあります。スモーキーリングとは、灰色でリング状に芝が枯れている状態のことで、病害が進展しているパッチの周囲に形成され、早朝などの芝が濡れている時によく見受けられます。感染したエリアの葉が枯れた後、生き残った地際部から新しい葉が生えることがあります。葉が広い品種の場合は葉に障害が起こり、中心が黄褐色に、周りが茶色から黒色になります。


ベントグリーンにおける病徴

スモーキーリング

病原菌の生態

病原菌の最適生育温度は28℃付近ですが、35℃でも生育可能な高温に適した菌であることが分かります。通常は植物残渣上において菌糸体で生活を営み、発病に適した環境になると感染子座(インフェクションクッション)という菌糸の塊を植物体上に形成し、植物内に侵入します。病原菌の伝染経路は持ち込み(足跡・管理機械)と胞子の飛来(芝上では確認はされていませんが、他作物で稀に胞子を形成することがあります)が考えられます。


植物葉に侵入する菌糸(青色)

発生環境

ブラウンパッチの発生は、比較的湿度が高く、日中の気温が29℃を超え、夜間の気温が21℃を超える時に始まります。この病害は、葉面が湿った状態が1日に10時間以上続き、しかもこのような日が数日連続するエリアで発生します。夜間散水を行なうことや、窒素量を過剰にすることは発病の激化を助長します。芝を低く刈り込むことによりブラウンパッチの病徴が明確に分かるようになります。

管理のコツ

  • 窒素は少なめから適量に、リンは適量に、カリは適量から多めに与えます。
  • この病害が活発な場合は、窒素施肥を控えます。
  • 刈高を上げます。
  • 通気性をよくします。
  • 日陰を極力減らします。
  • 早朝に散水を行います。
  • 土壌の水はけを改善します。
  • サッチの量を減らします。
  • 朝に芝から露を払い、芝が濡れている時間を短くします。
  • この病害の効果的な予防には、接触性殺菌剤または浸透性殺菌剤を使用します。

発生時期


発生時期の表記について
 :多発生  :発生

シンジェンタからのお奨め防除法

  • 窒素過剰はブラウンパッチやピシウム・赤焼病を発生しやすくしますが、逆に窒素不足ではダラースポット病や炭疽病が発生しやすくなります。それぞれのコースのストレスを吟味して適切な量の窒素を与えることが必要です。
  • ヘリテージダイブは、ブラウンパッチを長期間にわたり防除することが可能です。